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─ここはカントー地方にある、小さな田舎町・シオンタウン。
その町の奥にひっそりとそびえ立つ“ポケモンタワー”は亡くなったポケモンの魂が眠る場所と言われており、そのためか外から見てもどこか不気味な雰囲気を漂わせている、所謂“いわく付き”の建物である。
その理由としては、タワーの2階から5階には濃い霧が発生し、昼夜問わず、幽霊が出ると町人達の間でももっぱら噂になっているからである…
そんなポケモンタワーの2階に小さな少女が震えながら佇んでいた…
その腕にはコイキング(♂️)を抱いている。
その少女が今回の主人公であり、名前はユラと言う。
現在8歳。
このユラ、実はフスベシティ出身のドラゴン使い一族の娘である。
しかし、ポケモントレーナーになるのは10歳から…それもあるが、気弱で臆病なために一族の長老様にはドラゴンポケモンを持たせてもらえなかった。
そのため、連れているのはコイキング。
このコイキングの入手ルートは、釣りではない…
おそらく、ポケモンを初代赤緑からプレイしている者なら分かるだろう。
とまあ、その件はおいおい明らかとなるはずだ。
今は何故フスベシティ出身のユラがここシオンタウンに、しかもこのポケモンタワーの中にいるか、である。
ユラは気弱なためによく周りの子ども達にいじめられ、仲間外れにされていた…
それを見かねた、有能なドラゴン使いであるユラの祖父(連れているポケモンはボーマンダ、遠いホウエン地方で修行している時に出会ったらしい)がユラの祖母の出身地であるシオンタウンにユラを連れて来て、「お前には根性が足りんっ!
ここでしばらく修行して根性付けろ!!」と言いながら、ポケモンタワーの責任者である神父やシスターが止めるのも聞かず、ユラをタワーの中に放り込んだのである(笑)
なんというスパルタな祖父、流石はボーマンダを連れているだけはある。
しかし、その後、ユラの母と祖母の持つミロカロス&カイリューコンビにボーマンダと仲良く一緒に祖父がボコボコにされた事など、ユラは知る由もなかったのであった(苦笑)
話しを戻そう。
ポケモンタワーの2階にいるユラは怖さでガタガタ…と震えながら、涙を流しコイキングをギュッと抱いていた。
「…こわいよぅ、コイちゃん…
早くここから出たい…
でも、出口が分からないし…
それに、ここで修行して根性付けないとまたおじいちゃんに怒られちゃうし…
どうしよう…。」
「コイ…。」
コイキングもどうしていいか分からず、困り果てているようだ。
…よし、オイラが助けてやろう!
「ちょいちょい、そこの可愛いお嬢ちゃん。」
不意に肩をツンツンされ、ユラが「え…?」と振り向くとそこには…
「ゲンゲロゲ~~!!」
ベロベロと舌を出しながら恐い顔をする野生のゲンガーがいた!
「き、きゃああああっ!!」
「ケッケッケッケ~!
お嬢ちゃん、ナイスなリアクションだね~!」
「ポ、ポ、ポ、ポケモンが喋った~~!?」
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