自堕落な部下

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 ……チャプチャプ?  水の音か?  雲行きが怪しいが、いきなり叱るのは間違いだ。  リモートワークとなれば、飲み物だって飲むだろうし、原因も突き止めず怒るのは止めなくては。 「何か水の跳ねた音が聞こえた気がするんだけど、何かな?」  優しく問いかける。 「今はお風呂に入ってますね」  えっ、極楽ってそうゆうこと? 「てか、待って待って。……確認なんだけど、今は仕事の時間だよね」 「そうですね」 「そんなにあっさり返さないで!」  心臓に何本毛が生えてるわけ?  もう疑いようがない。悲しいがこれはサボタージュだ。 「一応仕事していますよ」  淡泊な弁明の声が油を注ぐ。 「そんなにわかりやすい嘘をつかないでくれるかな?」 「本当に仕事してますって。そんなに疑うなら、証拠にカメラを切り替えますね」  そこに映し出されるのは、きれいに磨かれた大理石と暖かそうな湯気。 「めちゃくちゃいいお風呂なんだけど。……こっちと大違いだよ」
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