動くな!

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「動くな!カバンにありったけの金を詰めろ!」 窓口が閉まるギリギリに目出し帽の男が叫んだ。 「こいつの命がどうなってもいいのか!」 男は銃口を怯える青年に向けた。青年はじっと両手をあげる他ない。 「いいか。よく聞け!」 青年は今にも気絶しそうな表情で少し頷く。 「動かなかったら撃つ!」 青年はちょっと考えた後、激しく足踏みを始めた。 「一言でも喋らなかったら撃つ!」 「ちょっと~!俺はたまたま公共料金の 支払いのために待ってただけなのになんで こんな目に遭うの? ちょっとくらい人質選んでもいいじゃん! まだ死にたくないんだけど!て言うか今の時代 銀行強盗やっても単独犯だったら 警察にすぐ捕まるんじゃない? さっきお姉さんが通報ボタン押してるのみたよ! ってことはそろそろ警察が来るんじゃない? ほら!遠くからサイレンの音がするから もうすぐじゃない?包囲されるんじゃない? 成功しないんじゃない!? 逮捕されるんじゃない!? 刑務所行きじゃない!? しっかり脅してるし実刑判決だよ!? お金奪っても意味なくない? そんなことより真面目に働いたら 良かったんじゃない?ってそうか! それができないから強盗なんかしてるんだ! 聞いた私がバカでした! っていうかさあなたの後ろにいる人って誰? 一回見た方がいいんじゃない? パッと見拳銃構えた警察官だけど もう一巻の終わりじゃない? おとなしく投降した方がいいんじゃない? ほら銃を下ろしてさ素直に逮捕されなよ! あっ手錠がかかった! もう俺にどうこう出来ないね! 危なかった!助かりました。」 男はそのままパトカーで警察へ連行された。 青年は酸欠の疑いで、病院まで搬送された。
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