それは突然に訪れるものです

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「自分で計画したにも関わらず、若がお前たちを見ながら酷い荒れようだったんだよ」  私の顔を見て、生気を取り戻したかのように流川さんが動き出す。身振り手振りで若様の荒れようを表現しようとしているみたいだけれど、何も分からない。 「禅さんが? 見てたんですか?」  ――あの禅さんが? わざわざ見張るようなことを? 「ああ……、ずっとな……」  どういう荒れ方で、なんで荒れていたのか分からないけれど、流川さんは目に見えて疲労感が凄い。ここは謝らないといけないと思った。 「それは……、すみません、流川さん」 「いや、気晴らしにはなったか?」  優しい雰囲気で聞かれて、今日あったことをお母さ……流川さんにすべて話したくなった。 「なりました。とても楽しかったです。海もプライベートでは初めてだったんですよ。個人的には行ったことのない場所ばかりで……」  背後から、なんか凄い視線を感じて、私は口を閉じた。 「それなら、良かった。私は失礼する。それじゃあ」  急に流川さんがロボットのようになって、疾風の如く部屋から出て行ってしまった。その原因は 「俺に何か言うことはないのか?」  不機嫌な禅さんで。 「えっと、貴重なデートの機会を与えてくださって、ありがとうございました?」 「……」  これじゃないのかな? 全然、機嫌が治まらない。次の言葉を投下することにする。 「とても気晴らしになりました。今夜は少し上手く眠れそうな気がします。ありがとうございました」 「……」  これも違う。怖い顔でジッとこっちを見たまま動かない。どうしよう……。
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