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「霧島、禅……?」
あ……しまった……、声に出してしまった……!
「やっぱり知ってるんだな」
タバコの香りに混じって、やれやれという空気を彼が纏っている。いつまで私のことをシートに貼り付けておく気なのか、というか、私が一体何をしたというのか。
「いや、あなた有名人じゃないですか! まあ、さっき顔と名前を知ったんですけど……」
自然に語尾が小さくなる。知ってると知らないを私の横に並べてみたら、私は知らないの方に近いんですけど。
「有名人……ね。とにかく、お前は俺の秘密を知った。だから、俺は今夜、お前を帰す気はない」
な、なんか、その言い方語弊ありませんか? まるで、イケメンが可愛い子を家に泊めるための口実みたいな。あわよくば、良い感じになりましょう……みたいな。
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