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「俺が離れたら、運転席に移動しろ。変な動きをしたら殺すからな?」
私にのしかかったまま、彼は私の頭に銃口を突き付けた。
「分かったか?」
至近距離でこちらを見つめる鋭い瞳が私の返事を待っている。私が見た写真の彼とは雰囲気がまったく違くて、本当に同一人物なのか、と疑いたくなるけれど、今はそんなことを考えている場合ではない。
「……っ」
声は出さず、黙って私は頷いた。
「いけ」
すぐに彼の身体が離れて、自由に動けるようになった。解放されたことによって反射的に外に出るドアの方に視線がいくけれど、一瞬動きを止めて、私は運転席に移動した。
普段一番安らげる場所だからか、運転席に座って少し冷静になる。
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