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「この女はどうする?」
「岩倉さんは好きにして良いって言ってたけど?」
「どうせ掃除屋が来るんだろ? 殺す前に俺に抱かせろよ」
「お前、よく死体の横で女を抱く気になるな」
「襲ってるところを動画に撮って金にすんだよ」
「あー、頭良いな、お前」
耳に男たちの会話は入ってくるけれど、誰がどれを喋っているのか分からない。
「女の腕を押さえろ」
誰かが、そう指示を出して、私に三人の男が近付いてきた。顔に大きな傷がある男も居る。
「やっ……」
やっと出た小さい声で抵抗しても、簡単に私の両腕は横に来た男たちに掴まれて押さえ込まれてしまった。
「なんか、そそるな」
「いや!」
足をばたつかせようと努力したけれど、抵抗虚しく、私の両足の間に入り込んできた金髪の若い男が、私のパーカーを力尽くで破いて、胸元のブラが露わになる。私の瞳からは涙が溢れて止まらない。
「胸は小さいが、関係無いな」
にやりと笑って、若い男はブラの上から私の胸に顔を埋めてきた。それだけでぞわぞわと気分が悪くなった。
――とても気持ちが悪い……、助けて。
「焦らすなよ。優しくしてちゃ、面白くねぇだろう?」
私の腕を掴んでいる男の一人が言った。
「あんた最低だな」
そう言いながらも若い男は私の胸元でニヤニヤと笑っている。そして、その表情のままで私のジーパンに両手を掛けて、下着ごとずり下ろした。
「やめて……、見ないで……」
無理矢理、足を上げるような格好をさせられて、喉から必死に押し出した声で抵抗する。でも、誰も私の声なんて聞いてない。
「たすけて……」
「おい、こいつ処女だぞ? 可哀想になぁ」
私の言葉を掻き消して、男が言った。言葉とは裏腹に若い男は嬉しそうな顔をしている。それから、突然ハッとしたような顔をして、近くに立っている仲間の方を見た。
「おい、ちゃんと撮ってるか?」
「あ、忘れてたわ」
「馬鹿か、ちゃんと撮れよ」
「良いじゃねぇか、見どころはこれから……、なんだ?」
急に廃墟の電気がチカチカと点滅し始めた。男たちも私もそれに気を取られて、動きを止める。
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