幸の薄さを胸で判断しないでください

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 私は今まで死ぬのが怖くないと思っていた。でも、どうだろう? 今、死と直面して、私は死にたくないと思っている。生きる理由なんて見つけてないはずなのに、私は死にたくないと……。私は一体、どうして死にたくないんだろう? 「そのまま、この住所に向かえ」 「……分かり、ました……」  スマホの画面を見せられて、金持ちのたくさん住んでいるエリアだなとすぐに頭が理解した。  そして、逆らうことなく車を運転して、彼を高級マンションまで送り届けた。私の役目は終わったと思われたけれど、彼が先刻言った通り、私が解放されることはなく…… 「何、するんですか?」  彼に腕を掴まれながら広いエントランスを通って、エレベーターに乗って最上階まで行って、彼の部屋に入るなり私は彼の寝室に連れ込まれて、ベッドに押し倒された。 「お前をただ消すことも考えたが、躾けたら面白いだろうなと思ってな」  笑っていない瞳の代わりにくくっと喉で笑って、この人は一体何を言っているのだろうか。
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