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「悪くないです、何も」
恥ずかしくて声が小さくなった。
「――お前を抱きたい」
そうしたくて堪らない、という声音が私の心をノックする。
「……はい」
私は今日、禅さんに心を明け渡した。だから、彼が言った通り、私は彼に抱かれる。初めてだから、ドキドキして、不安になるけれど、彼の愛が欲しい。
「やっぱり無理だって言われても止めてやれないからな?」
「……はい」
小さな声のままで、私は彼の背中に回した両手をぎゅっと握った。とても緊張する。
「優しくする」
彼の指が私の背中にあるファスナーをゆっくりと下ろしていく。そして、あっという間に全てを取り払われ、南国なベッドにお姫様抱っこで運ばれた。
彼に裸を見られるのは初めてじゃないのに、自分の服を脱いでいく間、禅さんがずっと熱い瞳で見つめてくるものだから、私は枕で顔を隠した。
「頭隠してなんとやら、だな」
ふっ、と笑いながら、禅さんは私の小さな胸に噛みついた。
「んっ、あ、禅さ……ん」
突然の刺激にビクッと身体が小さく跳ねる。禅さんの噛みついたところからじんわりと波が広がって、連鎖するように下腹部がきゅんと疼いた。今まで、こんなことはなかったのに、この感覚は何なんだろう?
「幸は薄く無くなったか?」
「んんっ、禅さんの意地悪っ」
言葉は優しくないのに、私の肌の上を滑る禅さんの手は壊れものでも触るように優しくて、頭と身体が混乱する。
「ほんと、可愛いよな、お前。ずっと思ってた」
「ぁっ、ん、ずるい……ッ」
今度は強く胸の突起を摘まむくせに、言葉は優しくて、さらに頭と身体が混乱してしまう。
――なんか、へん……っ。
「や、そこ、だめッ」
禅さんの唇がするすると肌を滑って、私の一番敏感な部分にキスを落とした。前回のお風呂でのことを思い出して、そのときに知ってしまった強い快楽の感覚に怯える。
「大丈夫だ。俺に流されろ」
枕に縋り付きながら禅さんの方を見ると、熱を持ちながらも余裕のある瞳と視線が合致した。
「禅さんばっかりずるいです……!」
――余裕がないみたいな口振りだったくせに……!
「馬鹿か、わざとだ」
「ふぇ? あ、ぁんっ、んんっ!」
私が文句を垂れた瞬間に、禅さんが私の敏感な部分に舌を這わせてきた。卑猥な水音が聞こえて、一気にブワッと顔が熱くなり、そのことも分からなくなるほど、そこばかりを責められて、私はすぐに身体を震わせて快楽の頂点に達してしまった。
「初心者のお前にはゆっくり色んなことを教えてやるよ」
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