幸の薄さを胸で判断しないでください

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「若?」  スッと部屋の中に入ってきた見知らぬ男性が、こちらに近付いてくる。パッと見でも分かるほど容姿が整っていて、王子様という言葉が似合いそうな気がした。でも、どうやら私には気が付いていないみたいで、私と男性との距離はあっという間に縮まった。 「え?」 「え?」  霧島禅の下から抜け出せずに居た私と目が合って、お互いに間抜けな声を出して、最後に…… 「ああああああああああああ!」 「きゃああああああああああ!」  急に叫び出すから私も反射的に恐怖で叫んでしまった。 「誰だ!? どうやって入った!? 若!? 若!!」  とても忙しない。私に向かって怖い顔をしたと思ったら今度は私の上に居る俺様男を揺すったりして、まったく現状が呑み込めない。一体、この人は誰なのだろう? 「まさか、若を殺したのか!?」  意外と冷静な頭で居たら、王子様にしては乱暴な動きで男性が私の胸倉を掴んできた。
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