幸の薄さを胸で判断しないでください

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「な、何のことですか?」  両手を軽く挙げながら降参のポーズでなんとか乗り切ろうとする。下半身は完全に霧島禅の身体に乗っかられていて、どうにもならない。  ――もう! 私、今日乱暴にされてばっかり! 「殺したのか!?」 「……っ」  また銃を突き付けられて、声が出なくなった。首を左右に勢い良く振って必死に否定するけれど、今にも彼の人差し指は銃の引き金を引いてしまいそうで…… 「……耳障りだ」  突然、掠れた声が聞こえた。私の上でモゾモゾと動いて、霧島禅が目覚めたようだった。 「若!?」  男性は“若”のお目覚めを察知すると銃を仕舞って、ベッドから降り姿勢を正した。そんな彼に向かって、霧島禅は身体を起こして暢気に欠伸をしながら片手を軽く上げる。まるで、「やあ」と言っているみたいだ。そんなに明るい男には見えないけれど。
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