1494人が本棚に入れています
本棚に追加
/197ページ
「まさか、この男、いや、女? いや、男? 女? と寝れたんですか!?」
寝られたことをそんなに驚くなんて、彼が男女のそれの意味で言っているなら、とても失礼だ。私だって、確かに胸は小さいけれど、ちゃんと女性として扱ってもらう権利はある。タイミングとか、色々あって、まだその経験はないですけど。
「ああ、眠れた」
あ、なんだ、そっちの方か。って、あれ? もしかして、不眠症……とか? こんな人でもストレスとか苦労してるんだなぁ……。なんて、優しいことを思ってしまった私が馬鹿だったのかもしれない。
「あと、一つ言っておくが、こいつは処女だ」
腕を掴んで引き寄せられ、肩を抱くのかと思えば、身体の横からやってきた大きな手に私は胸を掴まれた。がっしりとホールドされている。
「ちょ! ちょっと……!」
どうして人に広めるのか、と抗議の視線を送れば、貿易会社の若社長様は「会社という組織では報連相が重要だからな」と言ってのけた。
――どこを報告してんのよ! SNSの拡散じゃないんだから!
最初のコメントを投稿しよう!