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「行くな」
「……っ」
暗闇の中でしっかりと腕を捕まえられて、息を呑む。
「行くな」
微かに震える手を優しく握られ、引き寄せられ、いつの間にか、私は彼と一緒にベッドに転がり、後ろから抱き締められていた。
「今はただお前と眠りたい……」
棘の一切無い掠れた声が鼓膜をくすぐる。それが不思議と心地良い気がして私は動けなくなってしまった。
初対面だっていうのに乱暴で、視線も言葉も態度も俺様なくせに、どうして今はこんなにも素直なの……? 何かを企んでる? それとも……本心?
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