幸の薄さを胸で判断しないでください

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「……胸、触らないでくださいよ……」  私のムスッとした言葉は彼には聞こえていなかっただろう。すぐに規則的な呼吸音が聞こえてきて、彼が眠ったことが分かったから。  それにつられて私までウトウトとしてくる。  こんなときに、こんなよく分からない場所だけど、暗闇で、こんな時間で、人の温もりがあって、全然知らない他人とくっ付いていても私は眠ろうと思えば眠れてしまう。  これは私の悪い癖だ。というより、“そうならないと眠れなかった”というか……
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