幸の薄さを胸で判断しないでください

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「いや、生活に使う物だけでいい。こいつをここで飼う」 「飼うって……猫の世話も出来ないのに、新しく生き物を飼うって大丈夫なんですか?」  整った顔で、この流川という人はなんてトンチンカンなことを言うのだろうか。私を何も出来ない小動物だとでも思っているのだろうか。 「知らん、別に死んでも構わない」  あの、私の人権は無視ですか?  「おい、お前、普段使っている日用品をすべてこいつに伝えろ」  首根っこを掴んだままで、今度は何の尋問なのか。 「……シャンプーとか、ですか?」  色々他に言いたいことはあるけれど、渋々聞き返してみる。 「そうだ」 「どうしてですか? 別にあなたと一緒でも良いじゃないですか。私は別に男物でも気にしませんよ?」  お金持ちなのだから、他人に使われてシャンプーの残量を減らしたくない、とかまさか言わないでしょう? まあ、その前に飼われてやるなんて一言も言ってないんですけど。
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