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「聞くな」
冷たい言葉が近くで響く。私には見えないけれど、また氷みたいな視線をしているんだろうな、と思う。
「さては若……」
そこで流川さんが口を閉じたのは私の横に立っている俺様若様が睨み付けたとか、そんな顔をしたからだろう。でも、さては、って何なのだろう?
「……それより若、下着はどうしますか? ほら……サイズ、とか……」
ごほんっとわざとらしく咳払いして、女性である私のことを気にしてのことだろうか、流川さんが言い辛そうに口にした。
「それも伝えろ」
クイッと襟を引っ張られて、早く言えと催促される。
「分かりません。ちゃんと計ったことがないので、適当に……はひっ!」
急にくるっと身体を回され、真正面から両胸を鷲掴みにされて変な声が出た。
「これは……、マイナスAだな」
――いや、抉れとるがな。測るのが怖かったとか言い訳もさせてくれないじゃない、この人。
目の前に立った俺様が私の胸を揉みながら今度は意地の悪い笑みを浮かべている。人が気にしている小さい胸を見て、そんな顔をするなんて本当に心が歪んでいるとしか思えない。
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