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「若、さすがにそれは凹んでいるというか」
ええ、流川さん、その通りです。気持ち的にも凹んでます。
「よし、測るぞ」
「へ?」
流川さんの言葉を受けてだろうか? 急に若様がやる気を出してしまった。思わず、ポカンという顔をしてしまう。
「お前はこの紙に必要な物を書け。流川、お前はメジャーを寄越せ」
私に手近にあったメモ用紙と黒いボールペンを手渡し、彼は私の両腕を上の方で固定した。つまり、この幽霊みたいな手のままで紙に字を書けということだ。
「メジャーなんて……ありました」
何故持っているのか、急に流川さんのスーツの右ポケットから服飾用のメジャーが出て来て、自他共に驚きが隠せない。きっと、前にも、私の目の前に立っているこの俺様に無茶ぶりをされたことがあるのだろう。
「下と真ん中を測れば良いんだな?」
スマホで何かを調べながら若社長直々に私の胸を計ってくださっている。ちょっとだけ、こそばゆい。大人しくサイズを測られている私もなんだかな……。
「それで、若、昨夜は一体何があったんですか?」
猫缶をオープンキッチンで片付けながら流川さんが昨日のことを掘り返す。
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