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「あっ……そ、そっちはダメです!」
彼の右手がスルリと肌の上を滑って緩いスラックスの中に入って来ようとしたため、後ろ手で制止を求めたのだが、お互いにピタリと動きが止まった。いや、ハッとしてしまったと言うべきか。
「……」
あろうことか、私が伸ばした手は後ろに居る彼の下半身の中心、つまり、彼の……男の象徴に触れてしまっていた。
「見てみるか? ド処女」
恐る恐る横を見てみれば、彼は楽しそうに意地の悪い笑みを浮かべていた。
「け、けけ、結構です!」
バタバタと暴れれば、後ろからギュッと抱き締められる。
「その反応、気に入った」
彼がそう言った瞬間だった。これこそ救いのベルか何かだろうか、急に部屋のインターホンが鳴った。
「はあ……時間か」
高そうな腕時計を見て、大きな溜息を吐き、彼が私から離れていく。
「猫と一緒にそこら辺にでも転がっておけ」
「え?」
まったく彼が何を言っているのか分からないまま、それは突然始まった。
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