幸の薄さを胸で判断しないでください

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「え、え?」  彼がインターホンに向かって「入れ」と言った途端、ぞろぞろと黒いスーツを着たガラの悪い男性たちが部屋に入ってきた。  俺様に外されたブラのホックを直す隙が無くて、私は慌てて妹子を抱っこして部屋の角に立った。そんな私を置いて、その“儀式”が進行されていく。 「若! おはようございます!」 「ああ、おはようさん」  ソファにどかっと座った霧島禅に対して、男たちが深く頭を下げて順番に挨拶をしていくのだ。一人一人丁寧に。この人たちがなんなのか、私にはもう薄々分かってしまっているけれど、何も知らない、と自分に言い聞かせることにした。そうだ、私は何も知らない。 「若! そいつはなんですか!!」  ひと通り“儀式”が終わったあと、一人のがっしりとした男性が私のことを指した。 「新しく飼ったペットだ」  ――ペット!? 「信用出来るんですか!?」 「もうテストはしたんですか!?」 「信用なりません! 今すぐ殺すべきです!」 「殺さないなら信用出来るもん見せてくださいよ!」  何やら物騒にざわざわしている。これは、もしかすると、大変な状況なのでは?
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