幸の薄さを胸で判断しないでください

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「分かってる。近いうちにな」  ――近いうちに?  若様もなにか物騒な雰囲気を出している気がする。 「さて、解散だ。仕事をしろ」  手でシッシと追い払うような仕草をして、霧島禅は男たちを部屋から追い出した。 「なんですか? 今の」  妹子を抱っこしたまま部屋の角から動かず、彼らが完全に去ったのか玄関の方を覗き込む。 「お前はあいつらを何だと思った?」 「あの、質問に質問で返さないでほしいんですけど」 「お前に権利はない。答えろ」  私は何も知らないですよ、というのを再度アピールしたかったのだが、どうやら無理そうだ。少しの時間稼ぎにもならない。 「えっと……」  薄々分かってはいるけれど、正直に答えたくはない。それに若様も流川さんも銃を持っているということで、すでに答えが出ているようなものだけれど、もし、もしも、他の選択肢があるとすれば……
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