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スーツのジャケット、スーツのパンツ、それと真っ白なワイシャツが床に落とされていく。シンプルなクリーム色のネクタイも投げ捨てられていた。
「な、なんなんですか?」
成人した男性の裸なんて、今までちゃんと見たことはない。床に落とされた衣服に視線を集中させて、目の前で涼しい顔をしているであろう俺様の方は見ないようにした。
「お前の所為で皺になった。流川が戻ったら、このスーツをクリーニングに出すように言っておけ」
スッと彼の気配が移動していくのが分かる。
「私の所為ですか?」
「他に誰が居る?」
妹子を盾に彼の方を見ると、彼がちょうどこちらを振り向いて怪訝そうな顔をしているところだった。
――別に私の所為とかわざわざ言わなくてもいいのに、この意地悪!
私がムッとした顔を妹子の後ろに隠すと彼は怪訝そうな顔のままで一枚の白い扉の向こう側に消え、手に着替えを持って、すぐに戻ってきた。そして、バスルームらしき方に歩いていく。
「え、あ、もしかして、お風呂に入るんですか? 私も入りたいです!」
昨日も入れていないし、色々あって、身体を綺麗にしたい。そう思って、勢いで言ってしまったが、自分的には「あとで私も入りたいので許可をください」の意だった。
なのに、彼は
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