般若の貴公子は敵の船に現れる

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「反抗的だな、その目、嫌いじゃない」 「ちょ、り、理由を言ってください!」  一言だけ言って、またキスをされそうになり、私は彼の唇を両手で押さえた。そして、様子を見ながら、そっと外す。 「タバコの代わりだ」  手が離れた瞬間に、俺様はさらっと答えた。  タバコをやめるとき、苦労する人はたくさん居ると聞いたことがある。ニコチンガムを噛んだり……。この人も今日はミントのタブレットをガリガリと噛みまくってタバコの誘惑に必死にあらがったのだろうか?  「口寂しくて、代わりにキスを? 別にタバコを吸ったらいいじゃないですか!」  吸ったら私は近寄らないですけど。ずっと吸ってきたのだから、私よりタバコの方が必要でしょう? タバコは裏切らないし、文句も言わない。  まあ、でも、私が近寄らないからって、それをいちいち、この人が言うわけがない。 「お前が……!」 「……っ?」  急に両手を握られてビックリする。 「私が、なんです?」  慎重に尋ねてみる。どうせ、また私のことを酷く言うつもりだろう。例えば、「お前がタバコは猫にも害になる、などと言うからだ」とか「お前があからさまに嫌そうな顔をして俺様の気分を害してくるからだ」とか。  さて、この俺様は一体何を言ってくれ―― 「お前が寄って来なくなる」 「……へ?」
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