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頭がズキズキと痛む。目を開けると私は冷たい銀色の台の上に寝かされていた。真上からのライトの光が眩しい。どのくらい気を失っていたのか、ぼーっとする頭でスマホを出して時間を確認しようとしたけれど、手どころか全身が拘束されていて動けなかった。口も猿ぐつわがされていて声を出すことが出来ない。
「……っ!」
現状をやっと理解して、心臓が暴れて呼吸が乱れる。
「んん! んんん!」
どうにか拘束から抜け出したくて、身体を捻ったり、腕を動かしてみたりしたけれど、拘束している黒いバンドが緩むことは無かった。
「……?」
バタンという音がして、誰かが部屋に入ってきた。目の部分しか見えない青い手術着のような物を着た、男か女か分からない人間だった。
これが悪い状況なんだってことは理解している。でも、身体が動かない。パニックで自然と涙が出てきた。
「う、うぅ……」
――どうして、こんなことに? どうして、どうして、どうして、どうして……?
パニックになった頭の中を同じ言葉が繰り返し流れていく。何も出来ない。 手術着を着た誰かが、銀色に光るハサミを持って近付いてくる。
「んんー!!」
――こっちに来ないで! やめて! 助けて! 禅さん! 禅さん、助けて! 禅さん!
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