プロローグ

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「もしもし? 駒田です」 『おい、お前、またか?』  すぐに向こうから上司の声が聞こえてきた。年配のおじさんで、少ししわがれている。 「はい?」 『また、車を間違ったのか? と聞いているんだ』 「え? 嘘」 『依頼主がカンカンでな、お前はクビだ』 「へ?」 『何度も間違えるから、お前はクビだ!!!!』  耳が痛くなるほど大きな声がスマホから聞こえてきて、顔を逸らす。耳元に戻したときには電話は切れていた。 「あの……、もしかして、聞こえました?」  目の前の彼に尋ねてみる。
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