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キスだけ、というニュアンスだったのに、禅さんの大きな手はまたしても私の貧相な胸に伸ばされていて、やわやわと柔らかさを確かめるように揉まれる。
「ふ、んんっ」
角度を変えて、ゆっくりとキスをされ、受けているばかりの自分が恥ずかしくなってくる。かといって抵抗する権利も無く、自分から何かをするという勇気も無い。
だからか、彼の手が下にするりと動いて、部屋着のズボンを通り越して、下着の中に簡単に潜り込んだ。
「ん、んッ……!」
躊躇無く敏感な部分に触れられ、身体がビクンと大きく跳ねた。私はこの先どころか、この感覚さえ、よく知らない。ジンとする頭で、ただただ彼の次の行動を想像して、また恥ずかしくなって、怖くなった。
「泣くな。俺が物凄く悪いことをしているみたいだろう?」
気が付いたら涙を流していたらしく、私の唇を解放した禅さんが珍しく困惑したような顔をしていた。あまりに驚いたのか、私を攻めていた手も離れていく。
「まさか、自分で触れたことがないなんて言わないよな?」
そのままの表情で大きな手が私の涙を拭った。
「……うぅ、あなたなんか、大嫌いです……っ」
真っ赤であろう顔を彼から背けて、私はダンゴムシのように丸くなった。
駒田都築、二十五歳、処女、ただいま号泣しながら俺様にプチ抵抗中です――。
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