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◆ ◆ ◆
「若! 事件にでも巻き込まれたんですか!?」
二人で禅さんの部屋に戻ると、流川さんの第一声がこれだった。驚き過ぎてなのだろうか、大きな瞳がさらに大きく開かれている。
「ああ、殺人事件にな」
迷惑そうな言い方でスーツのジャケットが床に投げ捨てられた。
――み、未遂です! お願いだから報連相するの、やめて!
心の中では色々と言いたいことがあったけれど、実際の私は「すみません」しか言えなかった。
「殺人!? 金目当ての脅迫ですか!?」
「いや、相手の狙いは貧乳だった」
――ねぇ、言い方よ。言い方が酷いの、いちいち。
「すみません」
もう、本当にこれしか言えない。
「貧乳!?」
流川さん、そんなに過剰に反応しなくても良いじゃないですか、さすがに頭を叩きたくなります。見た目が王子様でも。
「これ以上は言えない」
残念だったな、みたいな雰囲気を出しながら言っているところ申し訳ないけれど、禅さんは禅さんで、この状況を少し楽しんでいるんでしょう? ほんと、やめてください。
「それより、流川」
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