攻防戦は女湯で巻き起こる

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「ああ……、しまった……」  朝起きて、トイレに行って、私はとても憂鬱になった。何故なら、例の日が来てしまったからだ。表現の仕方は人それぞれで、女の子の日という人も居る。  普段なら、いや、普段でも憂鬱だけれど、今、私は危機的状況に置かれている。  ここではこの日に備えての準備が出来ていなかった。サニタリー用品が何一つ無い。でも、禅さんは私を部屋から出してくれない。誰かに買って来てもらうように頼む……は、禅さんにも流川さんにも、とても言いづらい。そもそも理解がある男性陣なのか、が分からない。  どうして、一度家に戻ったときにドラッグストアに寄って来なかったんだろう。いやいや、あんな煤だらけでお店なんかに行ったら、それこそ事件になってしまうか。 「あー……」  気が付いた瞬間にお腹が痛くなってきた。頭も痛い。  実はいつも私は一類の痛み止めが無いと倒れてしまうほど、生理痛が酷いのだ。  このままトイレにこもっているわけにもいかない。禅さんが、まだ眠っている。でも、ナプキンが無いと大変なことに……。 「どうしよう……」  もう既に気持ちが悪い。これは禅さんが眠っている間にこっそり抜け出して……そうだ、そうしよう。理由は上手くいかなかったときに言おう。それまでは言いたくない。 「よし、いざ――え?」  深呼吸をして、トイレの扉を開けると、リビングのソファに見慣れた後ろ姿があった。――禅さんだった。
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