攻防戦は女湯で巻き起こる

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「まだ早い。一緒にベッドに戻れ」  急にソファから立ち上がった禅さんが、こちらに向かって歩いてくる。でも、暫く私には近付いてほしくない。だって、女子の日特有の匂いの変化に気付かれたくないから。  私の唯一の女友達、妹子は既に去勢済みたいだし、もしかしたら、「匂いがキツい」とか言われて、私も去勢されちゃうかもしれない。 「あの、暫く私に近付かないでください。最低でも二メートル離れて」  両手を前に出して、若様を制止しようと頑張った。 「一体、何を言ってる?」  しかし、私の気持ちは届かず、どんどん彼が近付いてくる。怪訝そうな顔してるところ申し訳ないですけど、本気で言うことを聞いてほしい。 「本当にこっちに来ないでください。怒りますよ?」  お腹も腰も頭も痛くて、既に凄くイライラしている。 「……」  私の気持ちが伝わったのか、禅さんの足が近くで止まった。危うく残り三歩くらいで私に到達してしまうところだ。黙りの顔と視線が合致する。  ――ここから、どうしたら良いんだろう?  そう思ったときだった。
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