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「――では最後に添付した資料についてですが、ここ半年かけて実施したモニター調査のデータで……」
言いかけたとき、背後に気配を感じた。寝ぼけた様子のアヤが後ろを通り過ぎたのだ。頭はボサボサ、あくびをしながら、トレーナーの裾から手を入れて腹をかきながらというとんでもなく無防備な姿で。
「……ということで以降は二課へ引き継ぐという形で……」
平静を装って進行を続けるが、それまでの余裕たっぷりの切れ者ぶりはどこかへいってしまった。モニターの向こうの面々も様子がおかしい。完全に見られてしまった。そそくさと会議を終わらせ、ゆっくりとモニターを伏せた。
「さて……と」
トイレから出てきたアヤはまだきちんと目も開いていないような様子。きっとこのあとまだ二度寝する気だろう。それをリョウが阻止した。
「アーヤーちゃん」
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