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リョウは笑っているが、その笑みは邪気をはらんだとても薄気味悪い笑みで、アヤは寒気がした。
「なあアヤ昨夜言うといたやんな? 今朝オンライン会議やからここ通らんといてって」 相も変わらずにこにこと不気味な笑みを携えながらのリョウに、まだ頭が回りきらないアヤはされるがまま壁ドンの体勢に持ち込まれた。起き抜けに抗議され、訳がわからない上に、至近距離で詰め寄られ、アヤは反論する。
「トイレだったんだから仕方ないだろ。だいたいあんな夜中に言われても憶えてないし」
いつになく強い語調でそう言われ、リョウもそういえば、と思い返す。伝えたのは夜中、アヤは既に半分寝かかっていたかもしれない。そしてそもそも寝室からトイレに行く動線上に当たる場所で会議を行っていた自分にも非があるのでは、と。これではアヤが怒ってしまうのも無理はない。
「あの……アヤ」
リョウから薄ら笑いが消え、眉が下がりすっかり申し訳なさそうな表情に変わってしまった。顔色をうかがうように、顔を背けているアヤをのぞき込むと。
「そんなに怒ることないだろ。……悪かったよ」
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