Prologue

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Prologue

彼女が出来た、と帰って来るなり 理久(りく)は告げた。 濡れた黒髪を細く長い指でくしゃくしゃと 指先を動かしながら、ヘアドライヤーのスイッチを切った私は彼の告白を聞いた時、大好きな恋愛ドラマのクライマックスを観ていた。何度も観ている録画だから台詞は聴こえなくてもわかっていた。 「好きな人いないなら、  付き合って下さいって」 「へぇ、そっか、どんな子?」 「後で話すよ。風呂、まだ温かい?」 「うん、さっき入ったばかり」 「俺も入ろ」 理久は部屋を出てバスルームへ消えて行った。 そこで止めていた息が出来た。 今の息苦しさは何だ。 理久に彼女が出来たって、 別にいつものことじゃん。 もう一人の親友、森沙羅は米国へ転勤し、 私たちはひと月前から二人で住んでいる。 一部屋空いた広すぎるこのシェアハウス「ドルチェ」で、理久と二人きり。
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