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 わたしは、小学校を卒業してから、人生で初めて転校を経験しました。新しい場所、慣れない環境。異国の地です。わたしはなかなか馴染めなくて、かなり孤独を感じていました。  そんなときでしたね。今書いているお話の雛形と呼べるお話を書き始めました。あくまでも『雛形』です。現在書いているものとは少し違います。自分が孤独を感じていたのが強く反映していたのでしょう、現在よりもかなり暗い雰囲気のお話でした。  具体的に言うと、記憶喪失の主人公が、不思議な精霊に導かれて記憶探しの旅に出る。だんだん紐解かれていく彼の正体は、『生まれつき癒しの力を持つが、使うと自分の命を削ってしまう』という……いわゆる特異体質の人間でして、最後は力を使い果たして亡くなってしまう。確かそんな感じです。  当時頭にあったのは……宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』でしょうかね。あと、主人公のイメージを最初に定めるきっかけになったのは、合唱曲『何億もの昼と何億もの夜を越えて』。他、わたしは無類のRPGゲーマーでもありますので、ゲームの雰囲気も何となく取り入れることをするのですが、このときは『デュープリズム』を少し参考にしています。  それから、雛形を考えているときは、Mr.Childrenの『星になれたら』をよく聴いていました。『記憶』『歌』『星』がイメージだったと思われます。  ただ、このときは最後まで書けませんでした。  中学二年から三年くらいにかけて、わたし自身がメンタルを病んでしまったためです。詳細は伏せますが、うまく周りと馴染めなかったんですよね。途中から書くどころではなくなり、一度筆を置きました。  受験シーズンの辺りには幸い回復していました。さしあたりましては、一番不安だったのは成績より出席日数でしたが、高校には無事進学しました。
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