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うちの会社では、現在社員の半数をテレワークにしている。政府からは七割テレワークにしてくれというお達しがあったらしいが、残念ながらその数字は到底現実的ではなかったためだ。なんせテレワークをさせるためにはパソコンなどの設備もいるし、当然オンラインで様々な会議・作業をこなすためのソフトウェアのインストールなど様々な問題も出てくることになるのである。
同時に、機密情報の取り扱いという点が厳しい。お客様の個人情報を扱うような作業や部署は、どう頑張っても規約上外部に持ち出すことができないのである。それもあって結局、俺や島田の部署のメンバーはほとんどが普通に出社している状態だった。それでも部署全体の三割がテレワークになっている今、去年の今頃の時期と比べるとオフィスも全然ガラガラという印象なのだけれど。
午後からは、次の企画に関する会議がある。
かつては広い会議室にずらっと机を並べてやっていた会議も、同じ形態を取っていては非難の対象になってしまう。会議室に入るのは数人で、それ以外のメンバーは別室か、もしくは自宅からの会議参加となる。いわゆるオンライン会議という奴だった。
今までの会議となると、参加メンバーの中で一番若い俺と島田が開始前に資料を全員分印刷して、机の上にそろえておくのが常となっていた。実はこれが存外面倒くさい。会議一時間前までに必要資料を上げてくれない担当者も少なくなく、しかもこういう時に限ってプリンターの調子が悪くなったり紙やインクが切れたりしてスムーズに進まなくなるのである。今は、資料の殆どが“共有サーバーにアップしてあるので各自自分でダウンロードして印刷するなりなんなりしておいてください”だ。会議前のバタバタに時間を取られなくて済む分、格段に楽になったのは間違いなかった。
『それでは、ショッピングモール“アルガ”A町店事業に関する企画会議を始めます』
俺は小会議室でぽつんと一人パソコンを構えて参加。島田は大会議室で、他の三人の先輩、上司と共に会議に参加。それ以外の参加者は全て自宅からの参加である。久々の大きな仕事だ。SNSに関することはあれだが、仕事に関して島田はかなり高い技量を持っていた。特に、わかりやすい資料を作成し、プレゼンすることに関しては右に出る者はいないと思う。自分は島田の補佐としてこの事業に参加することになっている。とにかくメモを取りつつ、気になったことは積極的に質問していかなければならない。
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