かいぎ、かいぎ。

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 ***  自業自得。そう言ってしまえば、それまでなのだろう。  一週間後、島田は死んだ。本人のお望み通りヨウチューブの生放送中に――残念ながら本人は一度も幽霊の類を見ることは叶わずに。生放送中に自宅でタバコと酒を楽しんでいた彼は、タバコの火が服に引火し、酒のせいで燃え広がって一気に火だるまになったのである。転がりまわって苦み悶えるその姿は、まるで体をぐにゃぐにゃに蕩かせながら踊り狂っているようにも見えたのだそうだ――というのはその生放送を不運にも見てしまった、別の同僚の証言だが。  やはり、呪われかねないような愚かな行動などするべきではなかったのだ。どんなに有名になったところで、焼死なんて悲惨な死に方をするなら割に合うことなど一つもないではないか。  島田の持っていた案件は、結局俺が引き継ぐことになった。彼の資料と残されていたメモ、それから経験豊富な課長のアドバイスを受け、俺はどうにか次の会議までに資料をまとめることに成功する。  素行に問題はあっても、その仕事ぶりは十分尊敬するに至るものだった。島田のためにも、なんとしてでもこの事業を成功させ、自分を拾ってくれた会社にしっかり恩返しをしたい。  久しぶりのオンライン会議。俺はスクリーンに資料映像を映しながら、感染症対策を踏まえて修正された企画案に関してパソコンとプロジェクターの前で説明を開始する。 「……ここまでで、何か質問はありますか?」  一区切りついたところで、俺はオンライン会議の参加者たちに向かって語りかけた。すると、液晶画面の中で課長が小さく手を挙げてくる。  どうぞ、課長――と指名すれば、彼は。 『その……三木君』  ああ、どうしてだろう。  何故彼は、真っ青な顔で自分を見ているのだろう。 『使っているパソコンが良くないのかな。映像の調子が、良くないというか……音も非常に聞こえづらいんだが……その』  いや、見ているのは、自分だけではなくて。 『その。後ろにいらっしゃるのは、どちらさまかな?』  俺の耳に。  あの時聞いたのと同じ――女性の呻き声が、はっきりと届いたのだ。
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