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「ユーイン様、さすがです。誰よりも王様のことをわかってらっしゃる。王様は今日も夢中で、あの“オンラインゲーム”をプレイしてらっしゃるようですね」
「いや、確かにプログラミングをしたのは私だが、そもそものアイデアは君が提供してくれたものだ。感謝している。……王様は危機感がなさすぎるからな。あのお父上の息子とは思えぬほど、お心が優しすぎる。……この国の食糧事情は、デニス様が思ってらっしゃる以上に深刻だ。このままちまちまと輸入を続けているだけでは、王族貴族の食事さえ賄えなくなってしまうというのに」
「ですが、もう徴兵を行うことはできませんし、他国とも和平を結んでいます。……とすれば、ロボット兵を、和平を結んでいないところに送り込んで、食糧を奪ってくるしかありませんよね」
「そういうことだ。王様自らその素晴らしい射撃センスでロボット兵を動かし、異世界の兵士たちを殲滅してくれる。我々はその隙に、異世界の食糧を奪ってくればいい。……異世界転移してきた旅人とかいう連中のおかげで、地球とやらにはまだまだ食糧があることがわかっているからな」
「ええ。異世界をこっそり侵略しても、誰も咎めることはありますまい」
「そうとも。これもわが国が生き残るため。なあに、王様はゲームだと本気で信じておられる。けしてバレる心配などないさ……」
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