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…ッチ
ウキヨシティ。
道路には枯れ葉一つも落ちてない、100m間隔でゴミ箱が街中設置されている、建物の色も形も統一されている中規模程度の街。
閑静な住宅街。
『リリィ~、リリィ!ちょっと降りて来てらっしゃい』
いつも声が聞こえる。
『何ですか?』
二階からリリムは返事した。
面倒だ。今私は素魔法で出会い系サイトをしている。お金を稼げるからだ。いわゆるサクラをしている。
メールで実際会わずにやり取りをしてそのポイントでお小遣いを稼いでいる。それが楽しくて仕方ない。
『ちょっと!いいから降りて来なさい』
『はい。分かりました』
ドタドタと階段を降りる。リビングに向かうとソファーでテレビを見ながらくつろいでいる母がいた。
『勉強の途中で悪いけど。お使いお願いできる?』
『…分かりました。いつものお店ですか?』
『そうそう、はぁい』
とお菓子を食べながら顔をテレビに向けたままメモを渡された。メモの端は少し油で湿っていた。
リリムは足早にリビングから玄関に向かった。
白いスニーカーを履く。そしてリビングに顔を向けた。
『…ッチ』
そう言って扉を強く開けた。そして静かに扉を閉めた。
外に出ると少し立ち止まり
『ッチ、今日は風が冷てぇ~なぁ』
空を見上げ声を震わすように言った。
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