小さな「好き」から見つけましょう

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「……ベッドで寝るのが申し訳ないと思うなら、それは気にしなくていい。一緒に寝たら、寝るだけじゃすまなくなるぞ」  脅すような声音に怯まず、こくりと頷いた依歩に、隆臣はまだ納得がいかないようで、眉間を寄せる。依歩は、動こうとしない隆臣の横をすり抜け、主よりも先に寝室に入った。「……はあ」と後ろから小さな溜息が聞こえる。  広い広いと思っていたが、大柄な隆臣と小柄とは言え成人男性の依歩が一緒に寝れば、やはりそれなりの狭さになる。 「依歩……、さっきのは納得してもらうための言葉のあやで、本気じゃない。隣で寝るから、今日はゆっくり休むんだ。おやすみ」  隆臣は、そう言って依歩に背を向けて寝転んでしまった。依歩に指一本触れてこない隆臣の誠実さが、今は憎らしい。隆臣ともっと深く繋がりたい、そう心が強く望んでいるのに、もどかしくて寝ていることなどできなかった。生まれて初めてのことなのに、怖さはない。依歩は、落ちそうなほどベッドの端に寄った大きな隆臣の背中に、顔を埋めた。 「依歩……」 「こっちを向いてください」  ベッドのスプリングが、ぐわんと揺れる。やっとこちらを向いてくれた隆臣の両頬に手を添えると、依歩はもう一度、触れるだけのキスを落とした。 その瞬間、依歩を見つめるその瞳が、スイッチが切り替わったように獰猛になる。「後悔しても知らないぞ」と静かに呻る声が、ぞくぞくと背筋を震わした。 「……ンッ、ふっ……あ」  先ほどとは比べ物にならない深いキスに、頭がくらくらする。歯列を割られ、進入してくる舌に口腔を蹂躙され、自然と下肢の中心に熱がこもっていく。気が付けば、隆臣に組み敷かれ、依歩は大きな体の下にすっぽりと収まっていた。依歩が絶え間ないキスに翻弄されている間に、隆臣は上から一つ一つボタンを外していった。何重にウエストを折ったズボンと、下穿きも剥ぎ取られてしまうと、キスによって萌してしまったものが露になった。 「やっ……やだ……」 「だめだ。見せて」 恥ずかしさに耐えられず、身を屈めようと動く足を押さえられ、検分するように全身を見られ、触られる。 「んっ……、ああ……」 画家という職業柄なのか、体のディテールや質感を確かめるように、大きな手が依歩の体をなぞり、じらされているようで腰が戦慄く。 「きれいな体だ……」
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