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耳元で囁かれた情欲の滲む声。指とは違う隆臣の男の部分が、とろとろになった依歩の肉壁を味わうようにゆっくり押し進む。
「……ふっ、んぅ……っは……」
まだ物慣れない依歩を気遣って、緩慢な抽挿を繰り返されると、じわりと迫ってくる快感の波に、依歩は戸惑った。
「あっ、あっ、やっ……なんかっ、へん」
「依歩……っ、そんな、締めるな……」
依歩の変化に、それまでゆっくりだった律動が徐々に速度を増していく。
「あっ……あっ……だめっ……んっう」
一際強く突き上げられた瞬間、火花が飛んだように目の前がちかちかした。
「ああっ……、あっ……あ――」
「…………っく」
体の奥に、どくどくと熱いものが放たれたことを感じる。力が抜けた体が依歩に覆いかぶさったかと思うと、依歩の放った精も厭わずそのまま横抱きにされた。まだ荒い呼吸と加速したままの心拍を共有するように、抱きしめられる。
「依歩……」
愛おし気に呼ばれた自分の名前に、依歩は涙が出そうになった。呼吸が整っても、依歩と隆臣はしばらく抱き合っていた。
一緒に入ると言って聞かない隆臣に抱っこされ、半ば強制的に浴室に連れていかれた依歩は、羞恥に悶えながら全身を丁寧に洗われ、タオルで拭かれて寝間着まで着せられた。
シーツを取り換えたベッドに横になると、抗えない眠気に襲われ、すぐに瞼が閉じそうになる。
「寝たく……ない、のに……」
まだ、この幸せな今日という日を噛み締めていたい。そう強く願っても、睡眠の足りない体は強制終了しようと全身に働きかける。無駄な抵抗を続ける依歩を、隆臣は優しく抱き寄せると、額にキスを落とした。
「おやすみ、依歩」
どうか、これが夢ではありませんように。そんなことを願うほどの多幸感に包まれながら、依歩は眠りについた。
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