(二)

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 この日は算数の教科が終わったら、昼休みだった。児童たちは食事のために次々とその場で姿を消していった。ログアウトしているのだろう。  隣の席のデニスに声をかけられた。 「これあげる」  デニスが紙切れを渡してきた。「チョコレート引換券」だった。リアルな小売店で品物と交換ができるチケットだった。この引換券は、メーカー問わず小売店で販売されているチョコレートに関する商品であれば、なんでも一〇〇円分のマネーに充当できるものだ。会計的にいうと、現金相当物に当たる。しかし、現金の授受は『ドーシン』(システム)の利用規約に違反することになる。 (続く)
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