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「わあぁぁぁ!!」
「ハァハァ…」
「あ、え?あ…ここ、俺の…部屋…か」
自分の声に驚いて飛び起きた。
普段はほぼ見ない壁掛けの時計を視界に入れ、今の時間を確認する。
「6時…て、朝か?夜?」
「夢…だよな。そうだよな、俺、帰って部屋で寝たんだよな…あーマジでビビった」
部屋に誰もいないと、ひとり言が多くなる。
久々に嫌な夢を見てしまった。しかも、自分の声に驚いて飛び起きた事は初めてだ。
「18時って事は、夜…だよな。寝過ぎだろ、俺」
壁掛けの時計はアナログの為、午前か午後かがわからないので、スマホを見て確認した。
普段なら深夜バイトから帰宅して眠っても、昼過ぎには勝手に起きる。
「今日は学校休みだよな、でも夜バイトだよな…あー失敗した…」
学校が休みの日は、昼には起きて少し遠いが安いスーパーへ買い物へ行くのがルーティーンだったが、今日は外れてしまった。
今から買い物に出かけてもいいが、そうすると7時の約束のオンラインゲームへ間に合わない。
遅刻すれば、約束通りに『封印の羽根』が没収される。
ゲーム内の超激レア報酬の『封印の羽根』は、絶対に没収されたくない。
「あきらめるか」
俺は秒でスーパーを諦め布団から出ると、オンラインゲームを始める準備をしつつ、腹ごしらえをする為に賞味期限間近の20%値引きの食パンを噛りながら布団を畳み、畳んだ布団をゲーム中、背もたれとして活用できるように小高く積み上げた。
そうしているうちに、声を出して飛び起きるほどのあの嫌な夢は自然と忘れることができた。
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