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顎をなぞった指が首の方にいって、なぞられるのは喉。
「…痛くない?」
「…」
すりすりとなでられて頭の中の自分が首を傾げる。
こくり
大丈夫に決まってる。
「…いや、奥まで入ってたから、くるしー」
「だから言わなくていい。」
頷いたところでニヤリと笑われて全部吹っ飛んだ。
ほんとにとんでもない人。
「ふふ」
ばっさりと切り落としたけれど楽しそうな顔は変わらない。
それからまたゆっくり重なる唇。
「ん、」
いたわるように、熱を分け合うように、くっつけられる柔らかい感触。
それはどこまでも甘くて、終わりが見えない。
キスは好きじゃなかった。
相手が望めばしたけれど特別触れたいとは思わなかった。
なのに
「…ん…ふ」
首に腕を回して、自分から口付けを深めれば熱いサファイア色でいっぱいになる。
それだけで幸せだと思う。
しばらくキスだけをした。
そのうち気持ちよくなってグッタリした私を離して、
「…ん、」
「かわい」
とろんとサファイア色を見つめればもう一度だけキスをした彼がベッドサイドの棚を開けるのが見えた。
その中からひとつ取り出して袋を破いているから、
ゴロン
疲れたから寝っ転がってもぞもぞと彼の方へ行く。
「…なに?」
「…つけてるのみるの。」
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