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無意識のくせに、よくやるものだ。
息をついてからすこしみじろぎすればそのうちはらりと解ける腕。
「…、」
ちょっとだけ起き上がればかかっていたお布団が胸から剥がれ落ちる。
なにも着ていない体が冷え込んだ空気に当たって縮こまるのがわかった。
「わ、」
そういえば冬だった。
彼に包まれていたから暑いくらいだったのに。
寒くないように、お布団をかけ直してあげてからそっとはちみつ色に手を伸ばしてみる。
その間も規則正しく聞こえてくる寝息。
無意識のうちにため息がでる。
相変わらず起きやしない。
本当に、会社がある日はどうしているのだろう。
まぁ、出社しているのだから大丈夫なのだろうけど。
結局私はまだ自分より先に起きる彼の姿を見たことがない。
ふわふわのサファイア色をまた撫でて、耳に、頬に、指を滑らせる。
白い肌がツヤツヤと光って、長いまつ毛がきらきらと差し込んできた朝日に照らされて輝く。
でもやっぱり瞼は閉じられたまま、サファイア色を見ることはなくて。
「ふふ」
わたしのおうじさま
口の中だけで呟いて唇をつっつけばやっぱり柔らかかった。
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