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プロローグ
私は職員室の自分のデスクの引き出しを開ける。
小袋に密閉された形で収められているピアス。女性がつけるような石の入った煌びやかなものではなく、男性がよくしているフープ状のピアスだ。
太さはさまざまで、針先ほどのものからストローほどの太いものまで、大小7つのピアスが入れられている。
私は時々それを取り出してもの思いにふける。
それを握りしめ目を閉じれば彼の言葉が鮮明に甦ってくる。
「先生これあげる」
「俺、決めたんだ」
「これから左官職人になる。んで、日本一になるんだ」
今回はこのピアスに関するお話をお届けしたいと思う。
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