プロローグ

1/1
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

プロローグ

 私は職員室の自分のデスクの引き出しを開ける。  小袋に密閉された形で収められているピアス。女性がつけるような石の入った煌びやかなものではなく、男性がよくしているフープ状のピアスだ。  太さはさまざまで、針先ほどのものからストローほどの太いものまで、大小7つのピアスが入れられている。  私は時々それを取り出してもの思いにふける。  それを握りしめ目を閉じれば彼の言葉が鮮明に甦ってくる。 「先生これあげる」 「俺、決めたんだ」 「これから左官職人になる。んで、日本一になるんだ」  今回はこのピアスに関するお話をお届けしたいと思う。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!