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「ああ、これ、封筒」 「コウさんに見て貰おうと思って」 「何?」 「数多の不思議。先月、書庫整理の時見つけて…コウさんに聞こうかと思ってて」 「へぇ、そんな本が大学の書庫にねぇ…確か家にもあると思うけど…」 「やっぱり、コウさんの親類縁者の方ですか?」 「ん、僕の曽祖父のもう一代前の人の弟?その人はお坊さんなんだけど、不思議大好きで、あちこち行っては爺婆をつかまえて、不思議な話を集めていたらしい。空想家だったっていうから、その話も盛ってるかもね」 「読んだことありますか?」 「ああ、子供の頃にね。こんなコピーしたんだ。これは、西部のだな。うちにこの辺りのを書いたのもある。それから、東部に足を運んでいた最中に亡くなったから、彼の念願だった書籍化は叶わなかったんだけど」 「三部作…原稿はあるんですか?」 「うーン、探せばあるんじゃないかな?家みたいにやたら古い家はなんでもかんでも後生大事に取ってあるから。見たいの?」 「見たい。この辺りのやつも読みたいです。これ、貸出禁止なんで、コピーしたんですよ。取りに来れなくてもう一部…」 「それは悪いことをしたね。シュウがこんな物を見つけて来るとは。蔵を探しておくよ」 「お願いします。蔵?蔵があるんですか?」 「あるよ。昔の土蔵が」 「俺も一緒に探していいですか?」 「え、いいけど…今?」 「今からでもいいです」 「何?その興味津々な感じは」 「いや、なんか…宝探しみたいで、その…嬉しいっていうか…」 「嬉しい?変なの。ま、いいや。鍵取って来るから待ってて」 「はい。お願いします」 嬉しい… 数多の不思議を巡り、何か、またコウさんと新しい景色が見られるような気がして、今直ぐにでも見たいと思った。
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