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部屋に運んだ行李をもう一度開ける。
コウさんは巻物をテーブルに広げた。
達筆すぎて全く読めない。
「聞き取りしながら書くにはこの方が便利だったんだろうな。こっちは清書した方だ」
「コウさん、読めるんだ。凄い。通訳して下さいよ。俺、こっちの方、借りて行ってもいいですか?ゆっくり読みたいんで」
「箱ごと持って行けばいい」
「いや、その巻物の方はちょっと…」
「大学に誰か居るだろ。民俗学とかの教授とか、院生とか、まぁ古文書の類を読める奴?とかさ」
「あーまぁ居ますね。なんか、宝箱開けたみたいでドキドキします」
「そう?」
「これ、毎号Pandoraに載せません?」
「ええ?」
「そのくらいのスペース取れますよ」
「どうした?その入れ込みようは」
「いや、書庫で見つけた時、コウさんに関係する人かと思ったらなんか、凄い発見したみたいで」
「まぁ、とにかく持って行っていいから、堪能して」
「ありがとうございます。あ、そうだ。神社行く前に初日の出拝んで行きませんか?」
「初日の出ねぇ」
「海まで走りますか?それとも、スワハラ?富士山と初日の出。良くないですか?」
コウさんは、なんだか可笑しそうに笑って「任せるよ」と言った。
記憶はその辺りまでだった。
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