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石龍さんを訪ねたのは昼時だった。
丁度出掛ける時らしく、慌しく、話もろくには出来なかったが、台座の刻名のお礼を言うと、
「あー、まだコウに言ってなかったワ。言っといてくれ。それ、どんと置いてっていいから」
と言い放って出掛けてしまった。
どんとがどのくらいかわからないが、100部を置いて帰った。
午後は近場を回って、明日は少し遠出。それから、狐のイラストを描いて貰った友達の所へも行こう。
それから…
なんだか、理由もなく焦っているような気がした。
意地でも全部配ってやる。
みたいな…
いつもは、出来上がりを見て、反省会。次回の検討会。
2月は何にするって言ってたっけ。
バレンタインのメイン、チョコレート特集って俺が言って、コウさんが、いいけど、一寸辛口にしてみてよ。とか言ってた。
もういいのか…
クビだった。
配り終えたらお終いなんだから。
そうして、瞬く間に日が過ぎ年末になっていた。
俺から訪ねることもなく、無論、コウさんからメールの一本があるわけでもなかった。
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