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「ねぇ、じゃあ晴子の部屋でまとめちゃおうよ!」
ねぇとじゃあに繋がりを見付けられなかったけれど、私の意思を無視して話は進んでいく。グループ課題の期限は明後日だから、集まって終わらせる事には賛成。けれど何故私の家なのか。
「だって私の家は彼氏がいるし、志貴君のお家は小さい弟くんと妹ちゃんがいるんでしょ?なら一人暮らしの晴子の部屋が適切で適任!」
大学で仲良くなった香川恭子は明るく行動力があるが稀に強引な所が見受けられる。まぁ、でも理由としてはそこまで無茶な事は言っていない。
「男の子と二人じゃないから大丈夫だよね?」
「…志貴君の事を意識してるとかはないから大丈夫だけど、うちかなり狭いよ?」
「遠回しに振らないでよ。久瀬が良いなら狭いのなんて全然大丈夫」
淡々と喋る志貴君は、兄妹が多いからだろうか。時に性別を忘れてしまうような緩やかな空気を纏っている。
「うーん…じゃあうちでさっさと終わらせよう!」
こうして私の家に初めての客人を招く運びとなった。この時の私は知る由もない。
志貴君の部屋への感想が予想外の言葉になる事を。
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