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「うむ。日光で体を起こすのは良い事だ。活発に動き回ればそれだけリスクも高まるが、それを回避する為に我々は小指表面に存在しているからな」
「おっしゃる通りです、総督。母体が階段を下りました。排泄行為と思われます」
総督は両小指防衛軍を統率しており、助手が両小指陣営や体から伝達される情報を逐一総督に知らせている。彼らは小由季の利き足である右足小指から指令を出している。
「了解した。寝ぼけているときは普段の扉や柱の位置の把握も曖昧になる。気を引き締めていこう」
「ラジャー」
小由季がトイレの扉を開ける。そしてゴツン!と音がした。
「こちら左足小指支部!強い揺れと音を観測!何が起きた!?」
「こちら右足小指支部。恐らく右肩が壁に激突したものと思われる」
「なんだ、驚かせやがって。この母体は毎回危なっかしい」
無事用を足し、顔を洗ってから彼女は朝食をとるためダイニングへ向かう。ここはかなり危険が多く、両小指支部にも緊張が走る。
「来たか。かなりの難所だ。テーブルと椅子の脚が乱立している。しかも立ったり座ったり忙しない。以前この場所で歴史的大損害を被った事があるしな」
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