K指防衛軍

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 人体は神秘に満ちている。現在でもなお、その全貌は完全には解明されていない。恐らく環境の変化に伴い、いらない器官が徐々に退化したり、あるいは新しい器官が生まれたり、そういったマイナーチェンジを絶えず繰り返しているのもあるだろう。さらに我々は様々な菌達とも共生している。全てを把握できるようになる未来はまだまだ遠いのではないだろうか。そして今日(こんにち)も誰にも知られる事なく、体の()()()()を守る防衛軍が我々の為に戦ってくれている。 「こちら右足小指防衛軍支部。母体である小由季(こゆき)の起床を確認。どうぞ」 彼らは自身が所属している人間を母体と呼称している。 「こちら左足小指防衛軍支部。我々も確認した。今の所こちらに危険は無い。どうぞ」 「了解。この母体は毎回右足から地面に足を付ける。警戒をしつつ状況を観察する」 小由季はベッドからおり、大きく背伸びをした。そして眼鏡をかけてからカーテンを開け、降ってくる陽の光を全身に浴びる。
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